近藤裕希のページ
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繰り返される争乱
王都が俄に騒がしくなった。深紅の薔薇騎士団が突如として召集され、弾丸のように王都の西の門から出陣した。伝令が各地に飛び、グロウゼオ・ビュロスの旗の下へ大王国の軍団が次々と合流を始めた。ハルヴァーナ討伐が開始されたのである。いつかは起こると皆思ってはいたが、このように唐突に始まった事に誰もが衝撃を隠せなかった。
クリケは王都から離れクロノスの大平原へ出る為に南門へ向かう途中、荒々しく道を駆け抜けて行く一編成の騎馬隊に遭遇した。怪我をしないように他の通行人や自分の馬と共に道べりに避難した。皆、興奮気味にハルヴァーナとの内乱が始まるのだと唾を飛ばしながら喚いた。嫌でも耳に入って来る噂話を聞きながら、クリケはあのオルクレス・アルゲイ卿が何をしでかしたのだろうか、と訝った。彼の姿、声を如実に思い出し、ただならぬ気持ちになったが、たった一人のクリケに出来る事など今は何も無く、彼にもせねばならぬ事があった。クリケはナクサズの剣を固く握りしめてそぞろになる気分を抑え付け、黙々と南門への道を歩き始めた。
2012年1月21日土曜日
呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解
第八十四話