近藤裕希のページ

 
 
 
 
 

剣が抜け落ちた我が身

 オッフェルマルトよ、君は私の事を覚えているだろうか?無垢の王とアモンが手を携えて人の理想郷を建設しようとしていた頃、私は君と轡を並べて戦場を巡った。生涯の友と認め合っていた私と君だったが、君は理由も告げずに姿を消してしまった。私は君の事を卑怯者だと思った。私は一人で戦いを続け、やがて倒れた。己の不肖が口惜しくてならなかった。今も口惜しいかと問われればそうだ。だが、今は少しだけ気分が違う。私の胸に突き刺さっていた剣が抜けたからだろうか。私の悩みは何も解決していないが、なんだか妙に心が軽くなったようなのだ。アモンの事はいい。君が何故姿を消したのかも気にしない。ただ、私はもう一度、君に出会い、語らいたい。もう、このような暗室に横たわっているのにはうんざりなんだ。

 

2012年1月18日水曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第八十一話

 
 
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