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僕たちはずっと春にいた

 外の世界が如何に乱れようとも、ずうっと穏やかだったこの丘にも時折冷たさの混じる風が吹き始めた。青年の傍らで遊び疲れて眠っていた女の子が、不意にブルッと身を震わせて目を覚ました。

「オッフェルマルト、私たち、いつまでここにいるの?」

「この場所に飽きた?イシェファラ」

「そうじゃないけど、どうして私たちはここにいるのかなって、ちょっと思ったの」

「どうして、か。そうだね、俺たち、死ぬ程長い間、特別な理由も無くこの丘に座っていたね」

 やおら、オッフェルマルトはイシェファラの手を握って立ち上がった。そして、何処に向かうかは特に決めぬまま、二人は花畑の丘を下り始めた。

 

2012年1月17日火曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第八十話

 
 
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