近藤裕希のページ

 
 
 
 
 

道楽者

 オルファルリアは今、乞食に身をやつし、各地を放浪している。深い思慮があってそうしているわけではない。クロランティーヌのいるフィ・アレクトラスの谷へ帰る道が分からないこの状況で、次に打つ手を考える気もしなくなり、シュメロ師にしごかれていた昔を懐かしみつつ、遊んでいるのである。オルファルリアが驚いたことに、存外、これが楽しい。思惑など一切を忘れ、放漫に周遊するこの気楽さと言ったら!各地の裕福そうな家々を訪れては、黙ってひび割れた木製の茶碗を差し出すのである。すると、大抵、銅貨を二、三枚貰える。オルファルリアは子供たちとすれ違う度にそれを一人に一枚ずつ投げてやるのである。勿論、袖を探れば林檎だろうが金貨だろうが何だって出せるのだが、それはしない。そんな遊びにオルファルリアは夢中になっていた。マイランがこれを知ったら、また、皮肉を一言チクリと宣われるのだろうな。それを思うと、彼は愉快でたまらないのだった。


 

2012年1月13日金曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第七十六話

 
 
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