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第五章 雪解けを待ちながら


いつまで経っても

 少しばかり昔、人々は皆、華やかな文明に憧れた頃があった。少しでも良い暮らしをしようと躍起になり、その営みの中で少しずつ様々なものを造り増やした。人々は、かつて自分たちが憧れた文明を築き、その中に住まうようになった。その達成感を噛み締めるように、彼らは自分たちの成果を外の世界に広め始めた。だが、一方で彼らの暮らしは思う程に満ち足りたものではなかった。何かが間違っていると心の片隅で思いつつも、自分たちを否定する事を、失う事を恐れた。

 やがて、彼らは自分たちが築いた文明を失った。しかし、失ってみれば、自分たちがあれ程までに憧れ、築き上げたそれは、無くても特に困らないものであった。

 そして、人々は自分たちに必要と思えるものを求める旅を性懲りも無く始めるのである。

 

2012年1月12日木曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第七十五話

 
 
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