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月夜の夜会の前に

(耳を澄まし、我が言葉を聞け、グロウゼオ・ビュロスよ。直ちに、あの剣を持ちて果て無き山脈の頂を目指せ。その頂の台座において、我は汝を試し、汝にティベスタリオンの真の王としての資格を授けよう)

 自身の寝室で眠る前の祈りを大いなる意思に捧げていたグロウゼオは、今、確かに神の言葉を聞き、身を震わせた。信じられなかった。これまで限りない祈りを大いなる意思に捧げて来たが、それが報われたことなど、かつて無かった。

 グロウゼオは自分の武具を収めている長櫃の蓋を開け、一番奥底に隠していた紺色の鞘に納められた一振りの剣を取り出した。

「ナクサズの剣よ、どうやらお前の主がお前を呼んでいるようだから、俺はお前をあるべき場所へ連れて行こう。しかし、不可解なことだ。猪の面の騎士とやらは、何故、俺にこのような事をさせるのか」

 グロウゼオは、自分の鎧と剣を身に着け、ナクサズの剣を紫色の絹布に包んで小脇に抱え、黙って宮殿から抜け出し、王都の東方にある果て無き山脈を目指した。

 

2011年12月24日土曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第六十一話

 
 
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