近藤裕希のページ

 
 
 
 
 

いずこかより漏れ滲む光

 クリケは、再度、旅の途上にあった。ツォルンとシュプーンの二人と相談し、ひとまず王都ラァフを目指すことになっていた。ツォルンはアル・カトスの墳墓が近くにある城塞都市アウォルフィドを今すぐに目指すべきだと、唾を飛ばしながらまくし立てたが、シュプーンはそれに否定的だった。まずは、王都ラァフのシェルフルド学院に寄り、勝手に姿を消してしまったオルファルリアを探す必要がある。万が一、オルファルリアに会えずとも、アモン王とアル・カトスについて詳しい学者の一人や二人いるだろう、 というのが彼の主張だった。クリケにはこれといった考えは無かったのだが、急ぐ必要は無い気がしてシュプーンの意見に賛成した。そもそも、大王国が建国された頃から気が遠くなるくらいの時間を地下墳墓の下で過ごして来た英雄を一週間やそこら長めに待たせたところで、何か不都合があるだろうか?

 まあ、そんなわけで一行は今日も王都ラァフへ向かう途中、寒々とした夜空の下で野営をしていた。ツォルンとシュプーンは早々と眠ってしまった。この日、クリケは妙に寝付けず、二人が寝静まってからも二時間ばかり毛布に包まったままゴソゴソしていたが、じっとしていることに耐え切れなくなってそっと焚き火の側を離れた。

 クリケは王都に通ずる道に沿って一定の間隔で配置されている石台の一つに腰掛け、アル・カトスの墳墓がある南の夜空を眺めた。なんだか、夜空が白っぽかった。今晩も寒いから、大気の水蒸気が凍って白く見えるのかな、クリケはそんな風に考えながら、冷えた自分の身体を摩った。

 本当、僕って何故、こんなにも平凡なんだろうな。時々、不思議なことが起こるけれど、僕がしていることって、てくてくと歩いているだけ。ずうっと、歩いてる。誰かに、僕のしていることって間違ってない?って確かめたくなるけれど、誰に確かめたら僕は安心出来るのだろう。クリケは、色々な人の顔を思い浮かべた。母さん、おじいさん。オルファルリア、マイラン。でも、その誰もが違う気がした。本当に必要な人に、自分はまだ出会っていないのかも。クリケはそんな気がして、ちょっとため息をついた。

2011年12月20日火曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第五十七話

 
 
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