近藤裕希のページ

 
 
 
 
 

持つべきものは友

 ヴェイリン卿は掘建て小屋のある丘の上に座り込んでしまったクリケをそのままにして、何処かへと消え去ってしまった。しばらく、クリケはアモンの剣を見つめながら、今後どうすればいいか思い悩んだが良い案は何一つ浮かばなかった。そもそも、何を解決すれば良いのかどころか、あの騎士が誰なのかすら分からない。こうなったら、古城に戻り、オルファルリアにアモンの剣を見せてみよう。彼ならこの剣について何か知っているかもしれない。

 そういうわけで、クリケはウルフェンクの古城へと戻ったが、母ラライ・デュバルシーからオルファルリアは既に妖精の谷へ戻る為に旅立ったことを知らされた。

「なあ、そう気を落とすなよ。魔法使いの先生がいなくなっちまったのは確かに痛いが、お前には俺とツォルンがついてるじゃねえか。ま、確かに俺たちは昔々のお話にはあんまり詳しくねえ。ではあるが、俺にはこの件を解決するに当たって、ちょっとしたアイデアがある」

 すっかり悄気返ったクリケを励ますように、シュプーンはクリケの肩に手を回し、ぐっと引き寄せた。

「フン、お天気野郎が偉そうにほざきやがって。てめえに出来るのは明日の天気当てることと太鼓叩くことくらいだろうが」

 そう言いながら手元のボールにストローを突っ込んでチューチューと水を飲んでいるツォルンに、シュプーンは憐れむような視線を投げかけ、彼も二枚舌をヒラヒラさせながら自分のボールの水をピチャピチャと舐めた。

「世紀のペテン師つったって、脳みそはツルツルテンだな。いいか?世の中、物事を成し遂げるには、まず、足掛かりをひっ掴む必要がある。今回の件で言えば、その剣にぶっ刺されていた騎士について知らねばならん。唯一の手掛かりは、そいつが口にしたアモンって名前だ」

「アモンか・・・。おう、若者君!俺たちって奴はなんてスカタンなんだろうな。アモンって言やあ、疾風騎士団と共にゴルバロスと戦ったアモン王じゃねえのか?うひゃあ、きっとそうだぜ!あんたが会ったってのは、アモン王の守護者アル・カトスに違いねえ。普通じゃあり得ねえ話だが、あんたはちょっと変てこりんな方々と縁があるお子ちゃまだからな。おっ・・・、こりゃ興奮して来たぜ。早いとこ、出発の準備をしなきゃな!」

 セデンの魔法の書に登場したアモン王の守護者アル・カトスの伝説と、これまで自分の身の回りに起こった数奇な出来事を思い出し、二人と熱っぽく旅の打ち合わせをしながら、クリケは意識の片隅でこんな事を考えていた。

 何かが僕を求めている。僕の心を覗き込み、僕が知らぬままに持っている何かを、それにとって何か大切なものを探そうとしてる。よくは分からないけれど、きっとそうなんだ、と。

 

2011年12月16日金曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第五十三話

 
 
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