近藤裕希のページ
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再起せよ
(俺はあの日、あの方の事を終生忘れないと誓った。あの方の望みをいつか必ず叶えると誓った。その時が、もう目前に迫っているんだ)
今年でもうミリャルド・レッツェンは三十四歳になった。十五年前のあの日の事を、あの日の光景を、彼はまた思い出していた。彼はあの光景を忘れてはならなかった。彼は、あの方、フォルク・レード公の最後を彼のたった一人の息子に伝えなければならない。一つ残らず伝え、あの方の望みどおり彼の支柱とならねばならない。いや、彼はそうありたい、そうしたいのだ。その一念でこの十五年もの間、屈辱に満ちた逃亡生活を送って来た。しかし、先日、危険を冒して王都ラァフに潜入し、レード公爵家復興同志の会のメンバーに接触した際、ついに総師オルファルリアが彼を、あの方の忘れ形見クリケ・レード公を見つけ、保護していると聞いた。一ヶ月程前にオルファルリアは王都南方に彼を迎えに旅立ったという。
俺も主君たる忘れ形見殿を支えよう。
ミリャルドはボロ布に包んだフォルク・レード公の遺剣をしっかりと握りしめ、雑踏に紛れ、王都ラァフの城門を抜け出ると冬間近のクロノスの大平原へと足を踏み入れたのだった。
2011年11月9日水曜日
呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解
第十六話