近藤裕希のページ
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第二章 欺瞞の代償
波紋
この宇大なる世界は幾度も生まれては滅び、また、生まれた。今、生きる者どもは昔の事など何も知らぬ。全ては万無の苦しみにより生まれ、そして滅び、その繰り返しである。生きるものは苦しみに喘ぎ、苦しみの中に喜びの幻を見続けて来た。
往く々々は誰もが自然という万無に帰り、絶対的な安寧と静寂の中で再び感情を芽生えさせ、現世の苦しみとなる。苦しまずとも良い、永遠に安寧と静寂に眠っておれば良い。されど、人は生まれる。真理は万無と神は言えども、何事も起こらぬ世界に人は生まれ、波紋を広げる。人々、皆が万無に様々なものを刻み、苦しみ、されど喜びもまたある世界を創造する。
世界は神が創り賜うたものではない。人が生まれ、暮らし、逝きたる、その道あとである。たとえ、人が残した道あと全てを神がぬぐい去り、万無に戻そうとも、苦しみも喜びも消えぬ。
難しいことなど一切無い。世は万無でなく、無常だ。命とはその移ろうものであると私は思う。
2011年11月7日月曜日
呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解
第十四話