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背徳に殉じた者

 冷たく湿気た遥か地下の空洞に、彼は横たわっていた。彼は死んだはずだった。彼は裏切られたのだ、一番信頼した者に、一番愛した人に。彼の心臓は冷たく汚れた鋼の刃に貫かれ、そのままこの地に置き去りにされた。

 あの鋼の冷たさはいつまでも忘れない。いや、身の苦痛よりも心の苦悶が彼を完全なる死を迎えさせる事を妨げてしまった。今でも、その苦悶から逃れられぬ。瞼を閉じる事も一切叶わず、虚空を見つめ続けている。

 アモンよ、何故、お前は私を殺めた、殺めようとした。何故、私は嘲りと侮蔑の真直中にこの身を置き続けねばならぬのだ。

 いや、分かっている。私はお前の守護者なのだ。たとえ、永遠に安息が訪れまいとも、私はそなたを守る。私はお前にそう誓ったのだから。

 

2011年11月4日金曜日

呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解

第十一話

 
 
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