近藤裕希のページ
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ある女の思い出
もう、あの人がいなくなってから随分と経つけれど、私の暮らしに変わりはない。気付かぬうちに私とあの人の子供は大きくなった。今頃、あの子は何処へいるのやら。元気だとも不幸だとも一つの便りも無いまま。
自由に空を駆け巡るあの風のように、そのようになったあの人と同じように、あの子も風になるのかしら。私だけが自由に羽ばたけぬまま、このようにして我が家に閉じこもっているのね。
もう、あの人の心配はせずに済むようになったけれど、私はこの古い街を離れない。あの人との思い出を守る為じゃない。ただ、自由に世界を駆け巡るあの人の忘れ形見が、次に何処へ行けば良いのかを見失った時に、きちんと迷わずに帰って来れるように、私はここを動かない。
私がしたこと、これからも続けること。それは、誰かの心の穴を埋めてあげること。一人ぼっちのまま、世間に吹きすさぶ冷たい風に寂しく凍えてしまわないように。
2011年11月21日月曜日
呪いと奇蹟と祝福と 第二篇:大王国の瓦解
第二十八話