

KEIKO TAKASHIMA
2010年9月5日日曜日
出会い〜そして>>
2007年の12月、ZIPANGの第9回定期演奏会がトリフォニーで開催されました。その日はZIPANGさんに提供した楽曲「古都三景」の初演の日でした。そして、ティンツの皆さんと初めて出会った日でもありました。同日、ティンツの皆さんは第2回カルテットコンクールinジパングの優勝団体としてゲスト出演していらっしゃいました。女性4人でトロンボーンのカルテットって珍しいな、すごいな、どんな演奏をされるのかなと、興味をもって客席で聞きました。そして、その日の演奏会の打ち上げでお互い自己紹介し合いました。お話してみると皆さんかわいらしい一見フツーのお嬢さんたちで、(実は後々、可愛いだけではない様々な面が見えてくるのですが・・・)この時のことをよく覚えています。
作曲家として自分の生み出した作品達は自分の手を離れると同時に一人歩きしてゆきます。ティンツの皆さんが私の作品「メモリーズ」を演奏会で取り上げたいと進言してくださったのは、パリ・トロンボーン四重奏団のCDにその作品が収録されていたためであり、また彼女達のパリトロやミシェル・ベッケさんに対する憧れは人知れず強いものであるということを皆さんから聞きました。
翌2008年2月都内の演奏会で「メモリーズ」をとりあげてくださり、ご招待いただきました。当日、彼女達の企画で、演奏前に作曲者として曲にまつわるコメントをお話しできる機会を頂きました。続けてティンツの演奏。そのサウンドに耳を傾けながら、パリトロが惜しまれながらカルテットを解散したときのコンサートのこと、「メモリーズ」を作曲したときの数々の思い・・・さまざまな思いと情景が走馬灯のように脳裏を駆け巡っていきました。ティンツの演奏は女性4人と言うカルテットでありながら、とてもパワーがあり、またそのサウンドには技術的な正確さの上に練習を積み重ね、それを経た後にしかたどりつけない世界が広がっていました。パリトロの演奏とはまた違い、端正な曲作りの中にも、私が曲に込めた思いを十分に理解して演奏を構築してくれていました。このようにして私の作品を好んで演奏してくださるトロンボーン・カルテット・ティンツさんとのおつきあいが始まっていったのです。

2010年のお正月に、ティンツの皆さんからお電話を頂きました。お正月から皆さんで合宿をしていらっしゃったそうなんですね。私の作品の中に「スクエアダンス」というトロンボーン・カルテットの曲があるのですが、その曲にとても興味があると。でも音源が無かったので是非それが欲しいとのご依頼を受けました。コンピュータからアウトプットすれば簡単な音源は出す事が出来ます。でも実は私はこの曲の作曲者でありながら、その出来映えに満足してはいませんでした。随分考えたのですが、特に後半部分に大幅に手を入れる事にしました。そしてようやく自分でも納得のゆく「スクエアダンス」が完成しました。ティンツの皆さんから今回のお話を頂かなかったらこの曲は今回の「改訂版」が出来上がることはありませんでした。ティンツの皆様からはかなり早い段階から9月21日の演奏会で全ての演奏曲目を私の作品で臨まれるとのお話を頂いておりました。ティンツの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてもう一つ。リーダーの中村友子さんから「2010年2月のミシェル・ベッケさんの来日コンサートの際にアンコールで一曲だけ共演できる事になりました!」と(とても興奮して)連絡が入りました。そしてその時の曲もご依頼頂いたのです。私にとってもベッケさんには過去に私の作品を取り上げてくださった経緯もあり、その大役を頂けて最高に嬉しかったですね。それがティンツの4本のトロンボーンをバックにベッケさんのソロをからませたトロンボーン5本のための「夕焼けこやけ2010」です。(9/21のコンサートではその曲をさらに4本のために書き改めました。)ミシェル・ベッケさんの東京公演に来られた多くの方々に聴いていただくことができ、私は会場で聴きながら感動の渦の中に巻き込まれていました。そして、あのベッケさんを前に若手の彼女達が堂々とその演奏を披露してくれたことに感謝すると同時に、彼女達のプロ魂をまざまざと見せつけられました。
ティンツ、それは私から見てもとても魅力あるトロンボーン・カルテットです。女性が4人。初めて出会ってから驚きの連続です。ティンツはどこまで見せて聞かせてくれるのでしょう。これからがさらに楽しみな彼女達です。
作曲家 髙嶋圭子
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。パリ・トロンボーン四重奏団、東京トロンボーン四重奏団、トロンボーンカルテットジパング、トロンボーンカルテットティンツ、荻野昇氏、古賀慎治氏、吉川武典氏ら、多くのトロンボーンプレイヤーに楽曲を提供している。
主なトロンボーン四重奏曲「メモリーズ」「わらべうた」「古都三景」その他トロンボーンとピアノのための作品など。