Dipl.-Ing. (Master of Engineering, graduate doctor course)

Leiter von Swiss Kinshizen Institute

Gast-Professor am Hokkaido Institute of Technology, Sapporo, Japan

Universal Adviser von SADO College, Sado, Japan

Lehrbeauftragter an verschiedenen japanischen Universitäten und Fachhochschulen

Lehrbeauftragter/Lehrer für Budo / Shin Aiki (真合気) an der Eidgenössischen Technischen Hochschule (ETH) und der Universität Zürich

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[要約]


『DER LANDBOTE』2008年8月27日(水)


東洋と西洋の架け橋


30年来、山脇正俊氏はスイスで暮らしている。故郷から遠く離れた異郷でこの日本人は両国民の思考法の違いを発見した。そしてそれが刺激となり、新しい環境哲学である『近自然学』の研究に従事することになった。


リコン村のエコ団地にある山脇正俊氏の自宅を初めて訪れた人は、まず名刺を手渡される。これは日本で一般的な習慣だからだ。しかしながらこの58歳の日本人は、日本の酒やカラオケはあまり好まない。それどころか、日本での生活は窮屈で複雑だという。だから1978年にスイス政府の奨学金を得てスイス連邦立チューリッヒ工科大学への留学が決まり、長く住んだ東京を離れることになったのは喜びであった。スイスでの最初のショックはチューリッヒ空港に降り立った直後に訪れた。日本のゲーテ・インスティトゥートで十分にドイツ語を習得したと思っていたにもかかわらず、キオスクでガムを買おうとして、店員の女性の話しがひと言も理解できなかったのだ。スイス人が独自の言葉を話すとは、それまで誰も教えてくれなかった。

しかしながら、チューリッヒでの新しい生活をこの若きエンジニアはすぐに気に入った。人々は親切で、街はきれいで、しかもコンパクトなのでどこへでも歩いて行ける。彼は、博士号取得のためのオーディオと高電圧の研究に集中する代わりに、故郷を遠く離れたこの地で自らのルーツを発見することになる。大学のスポーツクラブ(ASVZ)で日本の武道に触れ目覚めたのだ。


武道の新しい形

山脇正俊氏は当時毎日6時間以上も居合道、空手道、合気道、太極拳などを稽古した。武道は勝ち負けだけを競う技ではない。闘いを超越した所に本当の武道の神髄がある。そんな考えから、彼は『真合気』という新たな武道を始めた。相手と闘うことなく、相手の力を利用して流れるように動く。まるで舞踏のようなものだ。

2年間の奨学金期限が切れた後、山脇正俊氏は帰国か残留かを決心しなくてならなかった。日本での大学の恩師や両親の落胆にも関わらず、彼は自らの将来を東京ではなくチューリッヒに見出した。ただし、こういうことは彼の家庭では彼が最初ではなく、すでに祖父が長期間ヨーロッパで暮らした事実がある。このスイスに留まる決心は、スイス人である彼の妻ダニエルと日本で知り合ってさらに強固なものとなったようだ。スイスで武道で生きていくのは至難である。そのため、エンジニアとしての高等教育を受けた彼は、色々な企業などで技術通訳として働いた。そうした過程で、彼は新しい持続可能な近自然のまちづくりや川づくりと巡り会った。この新しい近自然と向かい合ううちに、彼は東西の思考法の大きな違いに気付いた。スイス人にとって木々や緑地は理屈なしに美しいものなのだが、日本人はそれらの美しい自然やランドシャフトの価値をいったん数値で証明しなければ気が済まないようなのだ。この一見科学的合理的に見える思考法は、日本人が第二次世界大戦後の急激な経済成長によって、自然との一体感を失ってしまったからではないのか。そうして、持続可能な開発に関する新しい哲学の研究の必要性を痛感した。『東洋と西洋との架け橋』というのは、両者の思考法の長所を融合させるという意味でもある。


自然と一体に

山脇正俊氏は、2000年、『スイス近自然学研究所』を設立した。「私の近自然学の考えはパラダイム・シフトを基本としている」と彼は説明する。それは発想転換であり、今までの思考法の延長線上にはないという意味だ。種々の考えをネットワークしたグローバルなコンセプトにより、人間と自然の調和ある共生を実現することがここでは最も重要なテーマだ。この近自然学は、再生可能エネルギー、エコロジー、あるいは持続可能な都市計画などに対する新しい刺激となるはずだ。日本ではこの新しい環境哲学に対する理解と欲求が、特に若い世代を中心に強いので、山脇正俊氏はスイスと日本の間を頻繁に行き来する。学生をはじめとして毎年数千人の若者たちが彼の近自然学の講義を受け、さらに企業や行政などを対象とした講演会、ワークショップ、セミナー、シンポジウムなどを日本各地で開き、どこでも盛況とのこと。スイスへも多くの日本人が訪れる。

1年前より山脇正俊氏はリコン村のエコ団地に住んでいる。年数回合計数ヶ月間、日本に帰国して滞在するが、「スイスの気候が自分の肌に合っているので、生活するならスイスの方が気持良い」と当人は言う。この頻繁な日本への帰国が、彼が日本国籍にこだわってスイス国籍を取得しない重要な理由の1つなのかもしれない。日本は二重国籍を認めない国だからだ。そんな彼だが、スイスで不愉快な思いをした経験がないと言う。勤勉で控えめなど、日本人とスイス人は国民性に類似点が多いからか。スイスへ戻ってパスポート・コントロールで「ただいまっ!」と言って、時々変な顔をされるのが唯一感じる違和感だという。


自立を目指す小さな楽園:ロタ島

北マリアナ諸島連邦にある約80km2の小島ロタ島で山脇正俊氏の近自然学を活用したプロジェクトが進行中だ。自然環境と島民の豊かさを両立させ、持続可能な発展を目指す。そのためには、衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立、特に石油と海外資本への依存からの脱却が重要だ。どこまでそれが可能なのか? ユニバーサルな広い視点からのソリューションの模索が必要だ。これからの発展が楽しみなプロジェクトである。

取材:ファビオ・マウアーホーファー